Candle 歌詞解釈

Hey!Say!JUMPの3rdのアルバム「smart」に収録されている山田涼介作詞「Candle」を、それはもう山田さんばりの妄想力でもって私なりに解釈した。


冒頭「夜の空 滲む光を 肩すくめ見上げている」泣きながら夜空を見上げている主人公。その理由は「あの日にはもう巻き戻せない」と悟った出来事があったからだ。そしてその「悲しみ」は出来ることなら「見ないようにし」たい。

ここで時系列を遡る、回想とも取れる歌詞が挟まれる。街のきらめきと対照的に物寂しさを感じた主人公は、別れた彼女に電話を掛ける。「『何してる?』って電話した向こう 誰かと笑う君の声」彼女の心はもう自分には向いていないこと、さらに「よかったね」と応えていることから彼女が結婚することをここで知ったと推測できる。

そして再び冒頭の夜空の下に戻る。「滲む光」を夜空に浮かぶ星の光と考えるのは容易であり、ここで登場する「星がこの手に落ちなくても」に繋がるからだ。
「じゃ…またね」と電話を切ったにも関わらず「二度と会えなくても」と仮定するほど、つまりもう会えないという可能性すら考えるほど強い意思をもって相手の幸せを願う主人公。そして「君に向けた想いの灯」今までの彼女への恋心を「願い込め消すこと」で1番が終わる。

続く2番はあっさりとやってきた彼女との再開、さらに皮肉にも結婚式という場である。「悲しみはもういらないよ」と彼女に投げかけるとも自分に言い聞かせるとも取れる言葉で過去を清算しようとし、また「真っ白な君の姿」を見て「綺麗だよ、おめでとう…」と祝福の言葉まで贈ってしまう。しかし、彼女の幸せを一心に願う「新しい灯」を灯すことができた主人公は「降り注いでく想いはまるで 涙みたいに溶けたキャンドル」だと思うのである。彼女の幸せを願う灯が燃える限り「涙みたいに」キャンドルは溶け続けるのだ。「悲しみはもういらない」と思っていたのに、幸せを願う限り「涙」は止まらない。

そこで主人公はある妥協点を見つける。「揺れる灯見つめ願うよ 幸せでいるように」結婚生活で得られるであろう彼女の幸せを「遠くから 心から」願う。「だから」その代わり「君が辛くなった時は」つまり相手の男との不仲、離婚、はたまた死別などという彼女の幸せを揺るがすことがあった時は「今までの灯じゃないともしび 君の元へ届けるから」という、新たな決意だ。ここは人によっていろいろな解釈があると思うが、わたしは山田さん自身が語っていた「他の男との幸せなんて願えねぇよ」という本音を主人公に託していると、つまり理屈では分かっていても恋心なんて簡単には消せないから、主人公の願い(「いつの日も君が笑って過ごせますよう」「幸せでいるように」)が叶わなかった時は、「今までの灯じゃないともしび」別れを受け入れてしまった過去の恋心とも、他の男との幸せを願う気持ちとも違う、彼女との結婚を見据えた揺るぎない想いを君に届けに行くよと言いたいのではないかと推測する。こう考えると、最後にぽつんと現れる「夢を願ってね」の「夢」は「君が見る夢」ではなく「君と見た夢」、つまり主人公が過去に彼女と願った生涯を共にする夢に結びつけるのが妥当だ。


「Candle」は表向きは他の男と結婚する元恋人の幸せを願う歌だ。しかし「灯」「夢」「願い」などの言葉を随所に散りばめそれぞれの意味を考えさせたり、「だから」から始まるラスト3行で自由な解釈を与える往生際の悪さ(笑)がとても山田さんらしく、また作詞者としての言葉選びや技巧も素晴らしいなぁと思うのである。